車の燃費を知ることはガソリン代節約には欠かせません。
ただ自動車メーカーが出している燃費情報は、実際走行してみるとあまりあてにならないところがあります。
そこでこの記事では、自動車メーカーが出している燃費情報とその正確性について、ガソリンスタンドの販促の手伝いを10年以上行ってきた専門家の立場からご説明します。
昔のカタログの燃費情報は信用できる?
燃料測定方法はこれまで何度も変わってきました。
その結果、少しづつではありますが今では実際のクルマの燃費に近いものになってきています。
10.15モード
2011年4月までの車は10.15モードというの燃費測定方法が使用されていました。
ただこの10.15モードは測定結果が実際とかけ離れていたため、燃費を計るとカタログとはかなり違った結果になることが多くありました。
10.15モードは、市街地を10パターン・郊外地を15パターンに分けて走行したデータを用いています。
- 20秒のアイドリング状態
- 7秒で20キロまで加速する
- 15秒間20キロをキープして走行
- 7秒で20キロから減速して停止
- 16秒のアイドリング状態
- 14秒間で40キロまで加速する
- 15秒間40キロをキープして走行
- 10秒間で40キロから20キロまで減速
- 12秒で20キロから40キロまで加速
- 17秒で40キロから減速して停止
- 65秒のアイドリング状態
- 18秒で50キロまで加速する
- 12秒間50キロをキープして走行
- 4秒で40キロに減速して走行
- 減速した状態で4秒アクセルをオフ
- 16秒で40キロから60キロまで加速
- 10秒間60キロをキープして走行
- 11秒で60キロから70キロまで加速
- 10秒間70キロをキープして走行
- 10秒で70キロから50キロまで減速
- 4秒間50キロをキープして走行
- 22秒で50キロから70キロまで加速
- 5秒間70キロをキープして走行
- 30秒で70キロから減速して停止
- 10秒アイドリング状態
10.15モードはこれらの測定データをもとに計測していますが、実際の走行とはかけ離れた結果になることが多く、実際の燃費よりはるかに良い数字が出てしまう欠点がありました。
そのため、2011年4月から新試験モードとしてJC08モードが採用されています。
JC08モード
JC08モードは10.15モードの測定時間を倍にし、平均速度や最高速度を引き上げ現実の数字に近づくように設定されています。
そのため、同じ車でも10.15モードより1割程度、燃費が低く表示されるようになっています。
ただこのJC08モードでも、まだ実際の燃費との違いがあったため、2018年10月から計測方法がWLTCに変更になっています。
実際の燃費に近づいたWLTCモードとは?
車の燃費測定は2018年10月からWLTC(Worldwide harmonized Light duty driving Test Cycle)モードという国際基準のものに切り替わりました。
今までの10.15モードやJC08モードと違い、WLTCモードは国際基準の燃費測定方法となっていて走行条件を4つに分けて表記しています。
- WLTCモード:市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード
- 市街地モード:信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定
- 郊外モード:信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定
- 高速道路モード:高速道路等での走行を想定
条件を4つに分けることでより正確な測定ができ、カーライフに合わせて燃費が分類されるようになりました。
また、今までJC08モードで表記されていた車もWLTCモードに表記が替わっているので、燃費を考えた車選定がしやすくなっています。
最後に
以前はカタログの燃費があてにならなかったので、車を購入する際はネットや実際その車を運転している人から燃費について聞くのがもっとも有効な手段でした。
しかし、WLTCモードが採用されてからは、カタログの燃費もだいぶ信用できるものに変わってきています。